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THE青ジャージいちばんきれいなものをタダで見せて下さいおよそ200g架空の冒険者オモチャはちらかっている/オグラオグラBOX3枚組

表ジャケット裏ジャケット
UK.Project UKRR-6014


およそ200g/800ランプ(96年)
    CD
  1. ダンボールの舟
  2. 春へ行進
  3. 午前2:20
  4. 道徳の屋上
  5. 耳のうしろに人柄あり
  6. かたちたち
  7. 深夜徘徊
1〜7 : 作詞・作曲/オグラ 編曲/800ランプ
8 : 作詞/オグラ 作曲/オグラ・原めぐみ 編曲/800ランプ

Vocal/Acoustic Guitar:オグラ
Drums:(初代)中安哲朗
Keyboard:原めぐみ
Bass:タキ マサユキ
Chorus:800ランプ




800ランプ2nd。カテゴライズしづらい音楽になっている。 800ランプとして成熟したのだろう。内省的な歌詞も多いが、全体的に曲調は明るい感じである。 それでも、ジャケットのダンボール舟の舳先には、首吊りにされた誰かが描かれている。


1. ダンボールの舟
のりとハサミとダンボールで
なんとも形容しがたい 舟をつくろう
感じたままに 思い描くとおりに
自分だけの舟を 舟をつくろう

カッコイイ誰かに あこがれているだけじゃ
いつまでたっても 自分にはなれないよ


オグラのエッセイによると、気紛れにダンボールの舟を作った夜、 それに乗る夢を見たことから、この曲を作ったとか。たかが200gの「自分だけの舟」。 誰もがもっと凄い舟を作ろうとして、いびつで乗れない舟を作っちゃいがちかもしれない。

金波銀波の シャバへ漕ぎ出せ
人を憎もう 人を愛そう
さまざまな 月光浴びて
やさしく ぶっそうに 飛行せよ



2. 春へ行進
部屋にはいられない ちょいと色っぽい訳がありまして
その日は一日じゅう歩きまくった
公園という公園を 何軒もはしごしまして
体じゅうに春のひなたを塗りたくった

子供たちが遊んでる “カエルだ 殺しちゃえ”
一輪車で少女が2人 地球に玉乗りしているよ


軽快なスカのリズムで、春らしく“ウキウキ”した曲。 季節感と日常の風景、軽い自戒など、リズムは違ってもいつもの歌詞である。 案外、こんな感じで、心配はあるけどのんびりウキウキしちゃうのが、日常そのものなのかもしれない。

春の魔法にだまされて
春の魔法にだまされて
ありきたりな僕は 少しウキウキしてしまう



3. 午前2:20
正月も過ぎた真夜中に 僕はひとり起きていた
あたたかいふとんの中で 僕はひとり起きていた

電気スタンドはオレンジ色で ふくりゅう煙をてらしている
表で人の声がする オレンジ色の楽しそうな声

その時一瞬考える この先いったいどーなるのかと
ちょうどいい楽しさは ますます僕をゆすりつづける


ウキウキした昼間があっても、夜中は、つい自閉しちゃう。 このアルバムが発表されたのは、オグラが31歳の時であるが、現実との距離感を「現実的」に 考えたりしちゃう夜が来る年頃だろうか?私はそうだったけど、他の人はもっと早いのかな?(笑)

2本目のタバコに火をつける 青い煙をうんと吐き
海を連想してみるが そこには僕がいないのだ

近頃はわりとうまくいってる 酒ぐせも悪くなくなって
どんどんいい人になってく どんどんつまらなくなって行く

幼い頃よく思ったものだ 僕も大人になるのかと
本当になれるものだろうかと 今の自分とはまったくちがう自分に

ところで今の僕はどうだ あたたかいこのふとんの中で
ひとりこうして起きている なんのあてもなく ただ起きている



4. 道徳の屋上
時代とは何の関係もなく
新しいテレビをののしって
道徳の屋上から
男は飛びおりた


他人と違うことを自負した者の決意も、案外、人並みの決意だったりする。 そんな者をみつけてはバカにしたりする。

だけど ところが 男は死なない
道徳の屋上とゆうものは 2メートル半だから


が、何度か飛び降りたつもりでも、そんな私の屋上も「2メートル半」の高さだし、 ぴょんぴょんと「40センチ」程飛び上がるばかりだ。

不条理な道徳の屋上
両手をひろげて 着地してから
男は気がついた
ここも道徳の屋上



5. 耳のうしろに人柄あり
自由な自由をもってる 君はなまぬるい肉
君にはじめて会った夜 僕はあの曲を聞かせた
まったくあの曲は 君にぴったりだったね
だって君は はじめ本当にひとりだったんだから

君の体はいつも ひなたのにおいがしていて
耳のうしろのところに 人柄があった


これは、恐らく拾ってきた猫のことを歌った曲だろう。 だけど、私はそれに気付くのが随分と遅く、ずっと「君」を彼女のことだと思ってた。 「ひなたのにおい」がして「耳のうしろに人柄あり」なんて、人間にしては妙じゃないか? 曲の最後に猫の鳴き声まで入ってるのに、私はずっとその意図に気付かなかったのだ。

サヨナラ 元気でね 本当に楽しかったよ
サヨナラ 元気でね じつにおもしろかったよ
サヨナラ 元気でね 君のあのしぐさが
本当に愛しかったよ のりでまいて喰っちまいたいほど



6. 命
人を憎んだりしないかわりに
本当に好きにもなれないよ
臆病者になるのも嫌だし
元気なフリをするのも嫌だ

なぜ前向きじゃなくちゃダメなんだ
元気なフリばっかりしやがって
あいかわらず世間にしまりはなく
間のぬけた あの 流行り言葉


夜になると、つい、おセンチになりながら、世の中にはにかんでみる。 そんな夜の自分も嫌いではないのだ。そして、嫌いにならないといけないように、 ついついおセンチな自分が責め立てる。

夜空いっぱいに出ている
どっさり星は出ている
でも みてごらん 愛する君よ
みてごらん 愛する君よ
みてごらん 愛する君よ 月は死んでるぜ



7. かたちたち
ハハハハハハハ
鳥が とんで行く

ヘヘヘヘヘヘヘ
かわらがうす笑い

111111
軒から 雪どけ水

FTH HTF
つきささった アンテナ

 単 単 単 単
単 単 単 単
のらねこの足あと

○  △  □
人々のくち


ある日、同じ800ランプファンの友達が私に言った。「『かたちたち』って歌凄いね」。え? あの意味不明な歌?どこが?。「歌詞カード見てみなよ」。で、よーやく、何のことか意味がわかった。 曲を聴いてるだけでは、パッとイメージできなかった。こんな仕掛けが一杯あるように思う。 私が気付かないところもたくさんあるんだろうなぁ・・・。 つか、「耳のうしろに人柄あり」も含めて、私が鈍感過ぎるのか・・・

かたかなにも ひらがなにも 数字にも ローマ字にも
漢字にも 図形にも なんににもなれない 僕は

ちゅうぶらりんのまま 今日も部屋の中
ちゅうぶらりんのまま 今日も また部屋の中



8. 深夜徘徊
青ジャージのアルバム以来、ずっと最後は、酒にまつわる歌だ。 これはしかし、どうやら、酔わずに夜の街をブラブラしている。 「ふるえる右手」をポケットにつっこんで、上機嫌に 「いにしえの詩人きどり」でブラブラしてみる。これで、酒でも降ってくれば文句の無い夜だ。 だけど、当然、降る訳もなく、「架空の冒険者」に続く。